1960年代から1990年代終わりまで数多くのレコーディングを行っていたジョー・ヘンダーソンですが、その中で1970年代後半は少ないものです。
そんな時期に制作されたのがこの作品であり、Wayne Darling(b) と Ed Soph(d) とのトリオで、そしてベースとのデュオでの演奏です。
内容は二つに分かれています。30分近くに演奏時間となる「Barcelona」は、「live at Wichita State University」とあります。カンザス州にある、ウィチタ州立大学で1977年6月2日に行われたライブ演奏で、トリオでのものです。
もう一つは1978年11月に行われたミュンヘンでのスタジオ録音で、本作品にデュオで演奏された2曲が収録されています。
ウィチタ州立大学では、ジョー・ヘンダーソンがフリー・ジャズに挑んだ演奏です。ディスコグラフィを見る限りでは、この三人での演奏はこの日限りのものです。しかし内容は3人の演奏が刺激しあってのものであり、その中でジョー・ヘンダーソンらしさもある内容です。
スタジオ録音でもフリーの様相がありますが、トリオでのライブ演奏と比べると、それは控えめなものです。もちろん聴きごたえある内容です。
1970年代後半のジョー・ヘンダーソンの姿をとらえた、濃い内容の作品と言えるでしょう。