9月30日のライブ、10月1日のスタジオ録音と、多くのコルトレーン・ファンと同様に、私はコルトレーンの新たな道へ踏み出し始めたこの二日間に接しておりました。そして、昨年の秋には「10月2日」が登場したのでした。
この日のテープの発見経緯は、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。コルトレーンの盟友であり、このペントハウスに出演しており、そしてアルバム「オム」に参加しているジョー・ブラジルが、シアトルのペントハウス、10月2日の夜の部を録音していたのです。
そして演奏されたのは「至上の愛」でした。あくまで私の想像で言えば、このペントハウス出演で新生バンドに手応えを覚えたコルトレーン、前日のスタジオ録音での感触も良かった、そこでペントハウス出演最終日に急遽「至上の愛」を演奏したと思っています。
各曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。
「至上の愛」を演奏すべく、準備万端で臨んだ演奏とはいいがたいところがあります。恐らくは開演前にラフスケッチをコルトレーンが提示して、演奏が始まったのでしょう。しかしこのCDを買った方々は、最高水準の演奏でなければ駄目などとは考えていないでしょう。もちろんそうれあれば素晴らしいことですが、この日の演奏が聴けることに興味と喜びを向けて、このCDを買ったと思います。
録音ですが、コルトレーンのサックスの音が小さいです。これは残念ではありますが、金返せ、などという方はいないことでしょう。これを購入した方々は、数多くのブート盤での、そういう音質を味わってきたわけです。
できれば、9月30日のペントハウスでのライブ収録、そして翌日のスタジオ録音、この両日に録音技師として関わった Jan Kurtis に、この10月2日にも担当してほしかったです。
いずれにしてもこの日の演奏のCD発売は、実に嬉しいものでした。