「チャールス・ミンガスらとの共演で知られるハードなブロウが魅力のテナー奏者ポール・ジェフェリー」と国内廉価盤CDの帯に書かれている本日の主役について、そこにある田中英俊氏の解説から紹介します。
1933年NY生まれのポールはイリノイ・ジャケーのバンドに参加した後に、1960年からB.B.キングのバンドに入り全米ツアーを行いました。その後にハワード・マギーやガレスピーのバンドに参加しましたが、ポール自身が脚光を浴びることはありませんでした。1968年にはサヴォイで初リーダー作を発表しましたが、話題にはなりませんでした。
そんなポールの転機となったのは、チャーリー・ラウズが抜けた後のモンクのバンドに加わったことでした。1970年から1975年までモンクと活動を共にしたポールは、いくら低迷期とはいえ名前が徐々に知られるようになりました。そんな中でミンガスからも声がかかり、そこでも活動を行なっていました。
本作品はそんな時期の1973年に制作されたものです。ジャック・ウィルキンス(g), リチャード・デイヴィス(b), そしてセロニアス・モンクJ r .(d)との演奏です。
真摯にジャズに向き合っているテナー演奏に好感を感じ、1970年代前半のストレートなジャズを楽しめる1枚です。これでポールならではの演奏があれば、もっと注目を浴びた存在に彼はなったことでしょう。
本作の前に9人編成で、本作の後にビッグ・コンボでエレクトリック路線の作品を、ポールはメインストリームで制作したそうです。その後に彼は大学でのジャズ教育に力を入れ始め、第一線からは退いたそうです。