アル・ディメオラ(1954年生まれ)、パコ・デ・ルシア(1947年生まれ)、ジョン・マクラフリン(1942年生まれ)による、人呼んでこのスーパー・ギター・トリオの3枚目の作品です。
1980年12月のライブ盤で登場して、1983年にスタジオ録音盤を発表しました。
そして1996年に再び活動を始めました。5月から7月にこのスタジオ録音盤を吹き込み、6月から欧州ツアーを開始したのでした。
この新作発表記者会見でのマクラフリンの発言が、国内版CDにある成田正氏の解説にありますので、紹介します。
「(再結成の)いちばんのきっかけは、僕のアルバム『ザ・プロミス』で1曲だけ3人でプレイしたことです。それから、ここ数年の間、アコースティック・ギターを弾くことに強いスリルを感じていました。するとこのトリオなら、もっとスリルが感じられるだろうという期待が大きかったわけです。ただし音楽的には、繰り返しを避けるために、いくつもの新しいアイディアを持ち寄りました。その結果、15年前の音楽と比べて、僕たち3人の新しいアンサンブルのかたちが生まれたと思っています」
パコ作の「ラ・エスティバ」でのフラメンコ、ディメオラ作の「ビヨンド・ザ・ミラージュ」ではメランコリー、そしてマクラフリン作の「ミッドサマー・ナイト」でのサンバでの世界と、初めの3曲だけで十分満足できる内容です。そこにはパコの発言にある通りに、「3人の新しいアンサンブルのかたち」があります。
演奏は有名曲「カーニヴァルの朝」を挟んで、再びメンバーのオリジナル曲での演奏になっていきます。アコースティック・ギターでの繊細さと激しさを感じながら、心を奪われながら聴き入りました。
さてこの1996年の再結成から既に四半世紀経っており、再々結成を望みたいところです。ジョン・マクラフリンとアル・ディメオラは今でも活躍していますが、しかしながらパコ・デ・ルシアは2014年に亡くなっております。