2021年9月1日掲載
Seiko Matsuda           Seiko Jazz
Verve原盤                    2017年録音

 かつてファンだった松田聖子さんがジャズ作品を発表したのですから、購入するのは決まっております。聴く前に分かることですが、内容も最高に素晴らしいものです。

 馴染みある曲が並ぶこの作品は、デヴィッド・マシューズの手によるアレンジで、一流のスタジオ・ミュージシャンが演奏を行っています。

 不満があるとすればジャケの松田聖子さんの顔への光の当て方、その強さです。「光で飛ばす」必要はないと思うのですが、アメリカ市場に30歳代のイメージを与えたかったのかもしれません。

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 チャップリン作の映画「モダン・タイムス」の主題歌「Smile」での聖子さんは大人の愛の包容力、

 1973年の映画「追憶」の主題歌「The Way We Were」では夕暮れ時に楽しく辛い昔のスライドが映り出されていくのを見つめる聖子さん、

 カルロス・ジョビンによるボサノバの宝曲「The Girl from Ipanema」では誰もを幸せな気持ちにさせる広場で陽気な気分でいる聖子さん、

 カーペンターズでお馴染みの「(They Long To Be) Close to You」では結末が見える恋だけど一瞬を見つめる聖子さん、

 ジョルジュ・ベンによるボサノバの「Mas Que Nada」での聖子さんは人の目を気にせずに大胆に振る舞っており、

 映画「アルフィー」の主題歌「Alfie」では終わりゆく恋を寛大な心で見送ろうと涙を堪える聖子さん、

 カルロス・ジョビンの代表曲「Corcovado (= Quite Nights of Quiet Stars)」での聖子さんは静寂の中でも心が燃え上がる女性の気持ちを、

 ナラ・ジョーンズで有名な「Don't Know Why」での聖子さんは突然に終わりとなった恋の思い出が信じられない様子を、

 女性歌手に愛されている「The Look of Love」では燃え上がりそうな恋の予感の前で不安も感じる聖子さん、

 人気ディズニー曲「When You Wish Upon A Stra」での聖子さんは大人の心に潜む純粋な気持ちを、

 このように異なった姿を聴かせてくれる聖子さんを満喫できるアルバムです。


(以上の曲紹介は、スイングジャーナル社2001年発行の「20世紀ジャズ名曲大事典」から引用しました)