多少なりとも人生経験を積んだ人ならば、このジャケに漂う哀愁に心動かされることでしょう。
本作は、オリバー・レイクがエリック・ドルフィーに捧げた作品とのことです。Baikida Carroll(tp), Donald Smith(p), Jerry Harris(b), そしてPheeroan Ak Laff(d)という、地味な方々との演奏です。
いろんな意味がある「Out To Lunch」というタイトルの作品の中で、ドルフィーが「Something Sweet, Something Tender」という自作曲を取り上げています。本作でもオリバー・レイクが取り上げており、しっかりとオリバー・レイクの個性を感じる演奏になっています。寂しげな音色は、ジャケの印象通りです。本作全体を通してみると、ドルフィー云々ということではなく、オリバー・レイクの存在を堪能できるものです。
しかしながらそれは聴く方の思いであって、オリバー・レイク本人は自分のアイドルの曲を通じて、自分の方向性を探っていたのでしょう。そのことが、その後の彼の多様な音楽活動へと繋がって行ったのではと思いながら、本作を聴き終えました。