この「今日の1枚」ではお馴染みのドン・ピューレンの、ソロ作品を取り上げます。ピューレンがミンガスバンドを経た後の1975年が、リーダーとしてのピューレンの出発の年といっても良いでしょう。子供ジャケの本作は、ピューレン作の4曲が収録されています。
「癒し」と言う言葉が広く使われるようになったのは、もう20年以上前のことだそうです。「癒しブーム」がおき、これをキーワードにした商売が盛んになり、音楽の分野にも「癒し」音楽が溢れかえりました。私はこんなことで心に安心感を得られるの?、との思いでおりました。時期を同じくして広く使われるようになった「自分にご褒美」と言う言葉と共に、私は首をかしげておりました。
本作品でのピューレンが提示する音楽は、遠回しにも直接的にも心に突き刺さるものです。タイトル曲を聴いていると、自然に自分の心に向き合い、いろんな考えを経て素直に自分を知ったような気分になれる、甘さと刺激さの演奏になっています。
これが本当の「癒し」音楽だと思いながら、本作を聴き終えました。