2017年4月1日掲載
Johnny Griffin            The Little Giant
Riverside原盤              1959年8月録音

 オリン・キープニュースのライナー・ノーツによれば、この時期、31歳のグリフィンはかなり痩せていたとのことです。私の知人によれば、それから10年以上経った来日公演の際には、大きなお腹にサックスが乗っていたとのことです。

 そんな針金時代の1959年にグリフィンは、ビッグバンドの結成を考えていたとのことで、ノーマン・シモンズにアレンジを相談していたようです。そんな時期に吹き込まれた本盤は、グリフィンの代表作と言われております。

 リズム陣はウイントン・ケリー,サム・ジョーンズ,そしてアルバート・ヒースです。

 この作品は3管編成で、ブルー・ミッチェルとジュリアン・プリースターが参加しており、ノーマン・シモンズにアレンジを依頼し、またいくつの曲を提供してもらってます。

 グリフィンの代表作を今日は聴いてみます。

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 私もそうですが、多くのジャズ・ファンは、ワン・ホーンでグリフィンの演奏を楽しみたいとの想いがあるでしょう。あの興奮するフル・トーンをたっぷりと味わいたいと思うのは、当然のことでしょう。しかしこの3管の作品でも、そんなグリフィンをたっぷりと味わえます。

 これには、この時期のグリフィンの音楽的成長があったと、ライナー・ノーツでキープニュースが書いています。「前作を録音した時点で、ジョニーの周辺には様々なことがおこっていた。中でも恐らく最も重要と思われるのが、NYのファイヴ・スポットでモンクと数か月に渡って共演したことだ」「モンクと共演することは、チャレンジと豊かな経験を積むことの両方であることの証明であった」と述べています。

 そんな意味合いのことは、この作品の随所に出ています。ミッチェルとプリースターの良さを活かした中で、グリフィンも一層光る演奏になっています。またリズム陣も輝いています。そしてこの作品の凄いところは、そんな良さが全6曲で輝いていることです。強いて曲をピックアップするならば、心に訴えかけるグリフィン作のブルース「63rd Street Theme」、自然を満喫できる喜びで一杯のような古いスタンダード「Playmates」でしょうかね。

 いつの時代にも光り輝く、グリフィンの、そしてジャズ界の名盤であります。