レスター・ボウイはAECでの活動と並行して、1970年代はソロ作品、1980年代に入るとブラス・ファンタジーというグループでも、積極的な活動を行なっておりました。本作品は、ソロ活動とブラス・ファンタジーの間にある演奏と言えます。ジャズビューン・ベルリンというジャズ祭でのライブ盤です。
このジャズ祭は私には有名な存在ではありませんが、ネットで調べてみたところ、1977年から1989年まで開催されており、欧州ジャズの有名人に加えて、オーネット・コールマンや山下洋輔なども出演していたジャズ祭です。そこでのライブ作品をRepertoireというレーベルがシリーズで発売しており、その第11弾が本作品であります。このRepertoireというレーベルは、1982年から現在に至るまで活動しているレーベルなので、本作品は正式な許可を得て発売されたものと思います。
さて演奏内容は、先ずはアリ・ブラウン(ss,ts),アート・マシューズ(p),フレッド・ウィリアムス(b),そしてフィリップ・ウィルソン(d)との演奏で20分を超えるアルバム名の曲を演奏します。続いての演奏は、フォンテラ・ベース,マーサ・ベース,そしてデヴット・ピーストンというヴォーカリストを加えての演奏です。
クインテットでの演奏は、混沌の中から生き抜く情熱を表現したような演奏で、レスターのそれまでの活動の一つが素晴らしい内容で聴けます。ヴォーカルが入っての数曲も、レスターの姿の一つを聴ける内容です。黒人霊歌が持つ世界が溢れており、それらがいろんなタイプの音楽を生み出していったことを感じさせます。ヴォーカル人の熱演をレスターの演奏がバックアップしいき、会場に熱気を呼び込んでいます。多面性を見せるレスターの音楽性が存分に楽しめるものです。