1990年のジュリ・アレンと言えば、大きな世間の注目を浴びていた時期です。そんな時期に吹き込まれたこの作品には、マーカス・ベルグレイブ(tp),ケニー・ギャレット(as),ボブ・ハースト(b),ジェフ・ワッツ(d),そしてエリ・ファウンテン(per)と録音されました。トランペットのマーカス・ベルグレイブが異色と言えるでしょう。
マーカス・ベルグレイブはベテラン・ミュージュシャンであり、アレンは高校時代にジャズの教えを彼から受けたそうである。これはアレンだけではなく、他のメンバーも同様のことらしい。そんな恩師であるベルグレイブはミンガスへの吹き込みなどで多少の知名度はあるかも知れないが、録音機会に恵まれたミュージュシャンとは言えないお方である。
そんな師匠に弟子たちが録音の機会を与えたという趣なのだが、やはりこの時代の若手の演奏からは浮いたものになっている。この時代ならではの、新主流派をややこしくしたような展開の中で、ギャレットから置いて行かれたような存在に師匠はなっている。師匠導入は刺激を求めたのかも知れないが、結果は違うものとなった。