カークのキーストン・コーナーでのライブ作品です。メンバーは、ロン・バートン(p),ヘンリー・ピアソン(b),ロバート・シャイ(d),ジョー・ハルゾ(per),トッド・バーカス(tam)であります。カークの作品のCD化は、他のミュージュシャンに比べて遅れていたように感じます。この作品がRhinoからCD化され、日本で店頭に並んだのは1993年のことでした。
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これ以前のカークのライブ作ですと、陽気に盛り上げて行くカークの姿が常にあったわけですが、この作品では重厚感を出しながら盛り上げようとするカークの姿があります。これまでと少し違うカークの世界が、この日のキーストン・コーナーにはあったのでしょう。
その中でのお気に入りは、スタンダード・バラッドの『イフ・アイ・ダブド・ユー』であります。テナー・サックス1本に徹したカークが、いつ息継ぎをしているのかと冷や冷やさせながら、重厚なバラッドの世界を作り上げております。カークの茶目っ気も残しながらの演奏だけに、カークの実力を存分に味わえる内容となっております。