1970年代半ばからのフュージョン旋風に翻弄されたジャズ界において、ジャズの熱き流れを伝えていたレーベルが、このブラック・セイントであります。そのレーベル第1作が、この作品。タイトルもずばりブラック・セイント。そして主役は、テーナー・サックス奏者のビリー・ハーパーであります。
彼は1960年代から注目を集めておりました。ジェームス・クレイ,ギル・エヴァンス,そしてJMへの参加でその名前が知られております。そんな彼は1973年に初リーダー作を吹き込み、本作が2作目。そしてこれ以降、マイナー・レーベルから作品を発表していきます。
Virgil Jones(tp),Joe Bonner(p),David Friesen(b),Malcom Pinson(d)との吹き込みです。
マイナー・レーベルと言っても、この時期のハーパーにとっては、貴重な自己表現の場。堰切ったように、熱いサックスが飛び出してきます。コルトレーン風と言ってしまえばそれまでだが、1960年代後半のジャズ界の動きを体現した演奏と言えます。ただし、長尺の演奏が3曲であり、どれもが同様のテンポと熱気。アルバムとしての構成を考える必要があったでしょう。