ベース奏者のチャーリー・ヘイデンが、スペイン市民戦争の歌を聴いたのが、この作品を作るきっかけになりました。総勢13人のオーケストラによる演奏です。有名な方々が集まっておりますが、ピアノ奏者としてのみならず、アレンジも担当しているカーラ・ブレイの参加がポイントでしょう。
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情熱と悲壮が交錯する内容であり、カーラのアレンジも豊かな展開であり、一気に聞き通せる1枚に仕上がっています。メインは20分を超える演奏時間の『第5連隊~4人の将軍~第15旅団万歳』と仰々しいタイトルの曲でしょう。スペイン民謡をもとにした曲で、カーラのアレンジが冴えております。またヘイデン作の『チュ・ゲバラに捧げる歌』と、それに続くオーネット・コールマンが1963年に書いた『戦争孤児』との展開も魅力的。前者ではヘイデンのベース、後者ではカーラのピアノが、メロディにマッチした音色で輝いておりました。8人参加しているホーン陣も熱演しておりますが、もう少し各自の個性が発揮される展開があれば、なお魅力的な内容になったでしょう。
政治メッセージがありオーケストラと、僕の嫌いな要素が重なった作品ですが、純粋な音楽の出来の高さで満足できるものです。