ドラム奏者のジョー・チャンバースは、1942年6月にバージニア州に生まれました。フィラデルフィアにある音楽学院で学び、その後ワシントンにあるアメリカ大学でドラムを研究しました。1960年からローカル・バンドで活動した後、1963年にNYに進出。ドルフィーやハバードなどと活動した後、1965年から1970年までハッチャーソンのバンドで活動し、欧州楽旅にも同行。この間にも、シェップやショーターなどとも活動していました。1970年からはローチ率いるパーカッション・グループにも参加し、作曲も手がけておりました。日本では馴染みが薄い方ですが、1987年には富士山ジャズ祭にも参加したとのこと。
56歳でBNに吹き込んだ本作品には、Vinvent Herring(ts),Eddie Henderson(tp),Mulgrew Miller(p),そしてIra Coleman(b)が参加してのクィンテットでの演奏です。
確か渋谷ジャロさんの中古コーナーで購入した作品、塩山のアパートで繰り返し聴いた記憶があります。
ドラムとベースが確かなリズムを刻みながら、ゆったりとした空間を提供。ピアノが、時にはユッタリと、時には多少の刺激を加えて、ドラムとベースが作った空間に背景色を加える。そして、管2本が、漂う鳥のような動画を映し出していく。
今までこのコーナーでこんな表現を何度か使いました。こんな演奏が、僕の感性にピッタリとくる場合もあれば、退屈だけの事もあります。このチャンバースの作品は、僕の感性直撃のもの。しっかりとドラムと作曲を学んだチャンバースが、数多くの大物ミュージュシャンとの共演を通じて自分の音楽観を確立していき、このBNからの作品でそれらを全て出した感じです。
さてこの作品は、日本では殆ど語られることがないもの。非常にもったいないことと思いつつ、この素敵な作品を味わえる数少ない日本人の喜びを感じます。