「新・世界ジャズ人名辞典」によれば、テナー奏者ハロルド・ランドの経歴として、1956年~1958年がカーティス・カウンス、1961年にはショーティ・ロジャースのバンドで過ごしたとなっています。そうすると、この作品の1960年や、過去に取上げた作品が録音された1959年は、フリーの状態で演奏していたのでしょう。
Kenny Dorham(tp),Amos Trice(p),Clarence Jones(b),そしてJoe Peters(d)との録音です。
脇役が染み付いているハロルドなので、急に主役をやれと言われても無理があるよう。目立つことなく、良い味をだしております。こういうのをいぶし銀と称することもあるでしょうが、ここでは物足りない演奏。そして相棒のドーハム。もともと華やかな演奏スタイルではないし、さらにここでは自分の立場に戸惑っています。そんな1枚。『slowly』でのハロルドのテナーの輝きが、他の曲でも発揮されていたら、いぶし銀と称される作品になったかもしれません。