2007年11月7日掲載
Art Blakey's Jazz Messengers
1958-Paris Olympia
Fontana原盤        1958年11月録音

 1957年のJMの停滞振りは、先に取上げた作品に表れております。それを打ち破ったのが、ベニー・ゴルソン(ts)を音楽監督に迎えてブルーノートに吹き込んだ『モーニン』。そしてその翌月にはパリに渡って、パリに一大ファンキー・ブームをもたらしたのです。その内容は『サンジェルマンのJM』で有名ですが、渡仏後に最初に録音されたライブ盤は、今日取上げる作品であります。

 ブレーキーとゴルソンの他は、リー・モーガン(tp),ボビー・ティモンズ(p),ジミー・メリット(b)がそのメンバーであります。まさに、幾つかあるJM黄金時代の、代表的なものと言えるでしょう。因みに私が持っているCDは1989年に購入したもの。今井氏の解説を読めば、この年はフランス革命200年の記念年。これに合わせて、1950年代に渡仏し、パリで演奏された歴史に残る演奏をCD化しようとの企画で発売されたもの。渡仏したジャズマンの活躍と言えば、この時期のJMが最も有名なのでしょう。

20071107

 シャルル・ド・ゴール空港は1974年の開港だから、ブレイキー御一行が降り立ったのは、オルリー空港だったのでしょう。恐らくジャケはオルリー空港での一コマ。最初はてっきり、合成写真かと思った。飛行機や管制塔が後ろに見える芝生で、ドラム機材に座ってポーズを決めるブレイキー。飛行機のハイジャックはこの時代でも知られたものであったはずですけれど、コマーシャル撮影ということで許可されたのでしょう。

 さて内容。黄金時期のJMだけに悪いはずなし。『Just By Myself Fontana』,『I Remember Clifford』,『Are You Real?』,『Moanin' 』,『Justice』,『Blues March』,『Whisper Not』と、時代の動きを感じさせる演奏。パリで2000名の劇場を満杯にするのは、音楽業界では難しかった時代。それを連日の満杯。それを実感出来る内容。空港で特別な扱いを受けたとしても納得できる演奏、そして観衆の熱狂です。