2006年1月25日掲載
Sue Raney      songs for Raney day
Capitol原盤     1959年録音

 解説の青木啓氏が、録音当時の話を紹介しております。
 音楽誌の編集長をしていたことから、東芝EMIのキャピトル担当者から、スー・レイニーのデビュー作品を聴かせてもらったとのこと。なかなか上手い歌手だと思ったそうですが、東芝EMIでは日本受けしないとの判断からなのか、お蔵入りにしました。それから暫くしての1960年に青木氏がレコード店でふと目にした輸入盤が、この「雨のレイニー」であります。ジャケの良さから青木氏は購入し、さらに中身の良いので、喜んだそうです。しかし青木氏の思いとは別に、東芝EMIは、またも発売見送り。そんな青木氏と同様にレイニーを高く評価していたのが、大橋巨泉だとか。

 そんな事を経て、東芝EMIがこの「雨のレイニー」を国内発売したのは、1983年のことでした。そして僕が購入したのは、CD発売された1990年のことであります。

 スー・レイニーさんの本名は、レイリン・クレア・クラウゼンといい、1940年にカンザス州生まれ。声楽とピアノの教習スタジオを持っていた母親について学び、8歳から少女歌手として活躍し始めました。その後、ネルソン・ドリルやスタン・ケントンなどとの縁を経て、1958年からキャピトルに所属し始めました。

 19歳の時の吹き込みの本作品は「雨のレイニー」と呼ばれていますが、ジャケからはその通称は思い浮かびません。12曲中4曲のタイトルに、雨が含まれております。

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 その雨タイトル4曲は、LPでいうところの、A面の最初と最後、そしてB面の最初と最後に収録されております。A面最初の『I get the blues when it rains』と最後の『rain』では、冒頭に豪快な雷音。B面に移り『rain on the roof』では、雨の音が続いた後に雷の音。

 こうなると、B面最後に収録されている『september in the rain』での演出が気になる。しかし、雨の音も雷の音もなく、9月の雨の日のロマンスを想ったバラッドは進んでいきます。はっきり言って、前の3曲での雷の音の演出は成功とは言えませんが、どうせならば4曲とも効果音を入れろよ、との気分に。しかしこの曲の終わり10秒前に、雷の音がし、そして雨の音となり、作品が終えていきます。そして聴く者がホッとする、そんな演出なのです。

 さて久し振りに聴いた19歳のレイニーさんの歌は、男に頼られるような母性を感じさせるものです。それは、雨4作にも言えます。そんな頼もしい歌声も、時には嘆きの声になります。『my prayer』でのレイニーの切ない思いの表現が、印象に残った作品です。