2005年8月9日掲載
Karin Krog  some other spring blues and ballads
Polydor原盤    1970年5月録音

 日本でのカーリン・クローグの人気盤と言えば、アーチー・シェップとの共演盤と、今日取り上げるデクスター・ゴードンとの共演盤でしょう。ざっと数えても30枚ほどの作品を残しているクローグさんですが、日本では共演のテナー奏者の人気に引っ張られて、1970年代の女性歌手として有名になっているのではないでしょうか。

 さて、クローグとデクスター・ゴードンの関係について、岩浪氏の解説から少し抜粋します。1963年にノルウェーのジャズ祭で顔を合わせた二人は、その後も度々共演しておりました。そして1967年にデンマークのTVショーで共演した際に、この吹き込みのアイデアが浮かんだそうです。しかし売れっ子の二人だけに、実現するまでに3年の月日を要したそうです。

 共演メンバーは、ニールス・ペデルセン(b)にエスペラン・ラッド(d)、そしてケニー・ドリューであります。ケニー・ドリューとクローグは、僕がこのCDを買った1988年に、一緒に来日しておりました。

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 ゴードン節たっぷりのテナー・サックスは、酔わせるスロー・ナンバーを聴かせてくれます。ドリューのピアノは、ひたすら美しさを与え続けています。そこに、クローグの投げやりな歌い方にも感じるが、強がり女の哀しさが存分に表現された歌が加わっている。この作品は、クローグとゴードンのデュオ作品がコンセプトであり、その個性の強さを緩和させるのが、ドリューの役割と言えよう。こんな意味合いの作品は、なかなか見当たらない。タイトル曲と、ジミー・スコットに捧げた2曲が良かったです。