2005年8月13日掲載
Chris Connor       Witchcraft
Atlantic原盤        1959年9月録音

 この作品についてのクリス・コナー自身のコメントがSJ1991年4月号に掲載されていますので、簡単に紹介致します。

 「私の気にって入る1枚ね。リチャード・ウエスのアレンジよね。彼はボビー・ダーリンの『マック・ザ・ナイフ』のアレンジをしたすぐ後に、この作品のアレンジをしてくれたの。その年はNYの、今はもうない『ベイズン・ストリート・イースト』でもよく歌っったんだは。ペギー・リーがその店を開いたばかりの時で、ペギーに続いて私も、スタン・ケントンとオスカー・ピーターソンと出演したのよ。月曜の夜なんか超満員で、入ることも出来ない状態だったわね。それこそ夢見たいなショーで、本当にスリル満点だったわ。一つのテーブルにはね、ジュディ・ガーランドやエセル・マーマンといった当時の大物歌手が座っていて、私は彼女たちの目の前で歌ったのよ」

20050813

 CDプレーヤーの機能の一つであるプログラム演奏は滅多に使わないのですが、今回はその機能を使って聴きました。というのは、このアルバムには4つのセッションから各4曲が収録されており、解説を書いている市川氏によれば、それぞれ強い個性があるとか。

 最初のセッションは、オーケストラにコンガを加えてラテン味に仕上げているもの。この演奏に乗ってクリスは、天真爛漫な歌を披露しています。『I here music now』が一番良いかな。

 二番目のセッションは、ビッグ・バンドをバックにして、歌っているもの。この時期のジャズ・ヴォーカル作品の王道をいくような歌を、クリスは聴かせてくれます。『come rain or comeshine』が気に入った。

 最後のセッションは、ストリングス・オーケストラをバックにしたもの。そこでのクリスの歌は、大きなナイト・クラブで歌っているかのような、色気溢れる大人の魅力です。『when sunny gets blue』が、特にそんな内容です。

 今回はセッションごとに聴きましたが、やはりオリジナル通りの順番で聴くべきでしょう。そうすれば、さらにアルバムとしての印象が高まるはず。兎に角、高い内容の作品です。