2005年6月20日掲載
Reeds and Deeds      Wailin’
Criss Cross原盤          2004年4月録音

 Reeds and Deeds というユニット名での録音ですが、これはエリック・アレキサンダーとグラント・スチュワートという、テナー・サックス・コンビであります。グラント・スチュワートは1992年と1995年にクリス・クロスにリーダー作を吹き込んでおりますが、それ以降2002年にライアン・カイザーの作品にサイド参加までの7年間に渡り、このクリス・クロスには関わっておりませんでいした。僕自身グラント・スチュワートに関しては知識が無く、この7年間の彼の活動暦は分かりません。

 さて本作品は何故に双頭リーダー作としたのでしょうか。単にアレキサンダーの契約上の問題なのでしょうか。それともスチュワートの高い実力から、アレキサンダーと組み合わせたら面白いとの、プロデューサーGerry Teelens の判断なのでしょうか。David Hazeltine(p), Peter Washington(b), Kenny Washington (d) が参加しての、クィンテットでの録音です。

20050620

 両者の音色を比べら場合、アレキサンダーが軟らかいもので、スチュワートはザラザラ感のあるものです。これはどちらが良い悪いではなく、比較した場合における僕なりの表現です。

 この作品ではテンポの速いものが中心なのですが、そこでの両者の演奏の比較ですが、どちらも音符数の多い演奏ですが、どちらかと言うとスチュワートのには弱気な雰囲気を感じます。ただし、これも良い悪いではありません。

 さてこの作品の中には、バラッドが2曲あります。しかし、どちらもテナー1本でのもの。スチュワートが『born to be blue』、アレキサンダーが『the shadowof your smile』を取り上げています。アレキサンダーは自分の熱き思いをストレートにぶつけているものであり、スチュワートのは悔い事を並べているような演奏です。このバラッド2曲で、両者の演奏を聴き比べたかった。先の感想は曲に起因しているものだと思うので、同じ曲で是非とも二人の表現の違いを聴きたかった。

 さてテナー2本の内容を中心に書きましたが、全体の内容自体は聴き応えのある好内容の作品。テナー2本が刺激しあった成果もありますが、それを支えたピアノ・トリオもお見事。特にバラッド2曲でのヘイゼルタインの輝きのあるピアノと、ピーターのブラシの響き心地が素晴らしいものでした。このメンバーでもう1枚作るなら、是非とも購入致します。