最近のフィロロジー・レーベルのジャケット・デザインは、趣向が変わってきました。今日取り上げる作品は、そんな新趣向のジャケットです。
主役のアンドレア・ポッツァは、彼のサイトによると1980年からのレコーディング暦が始まったようです。またあるサイトからの情報では、40歳ほどの方だとか。この二つを合わせれば15歳からのピアニストとしてプロ活動ということになりますね。
さて購入のポイントは、ポッツァ・トリオにエンリコ・ラヴァが加わっていること。そして、バッソも1曲だけですが加わっていることです。ゲストのトランペットとテナー・サックス買いと言える1枚ですが、ポッツァの演奏にも期待しております。
ピアノ・トリオの定番曲『speak low』が1曲目に用意されていますが、無難にテンポよくトリオだけでの演奏が進んでいきます。9分弱の演奏時間なのですが、なかなかラヴァのトランペットが出てこない。残り3分でドラムとピアノの4小節交換が始まり、これが終わったらラヴァの出番かと思いました。しかし、無難にピアノ・トリオでの演奏が進み、エンディングを迎えることに。
ラヴァもバッソと同様に1曲しか参加していないのかと思いながら聴き始めた2曲目のタイトル曲は、出だしからラヴァ。荒れ模様の天気に託して人生の無情感を歌ったこの曲を、ラヴァは淡々と演奏しております。狙ってあっさりと演奏しているのかどうかは不明ですが、この演奏ではラヴァの淡々さとポッツァの無難なピアノが、曲のイメージを活かした演奏になっています。
3曲目はバッソが加わっての『I can't give you anything but love』ですが、この曲は「この素晴らしいもの(ティファニー)を君に買ってあげたい。でも君にあげられるのは僕の愛だけなんだ」という、実に照れてしまう内容の曲。こんな気持ちをロディに乗せて、バッソとラヴァは渋みのある演奏をしています。流石にこんなフレーズを何十年も口にしてきたイタリア人だけあって、その演奏も型にはまったものになっています。
まだまだ演奏は続くのですが、際立った良さは無かったです。この程度は当たり前でしょうという感想。また印象を悪くしているのは、タイトル曲と『dear old stockholm』が、2曲収録されていること。演奏内容には大差無し。名盤復刻での追加曲ならわかるが、何でこのなことをしたのでしょう。後味が悪かった1枚です。