2005年4月1日掲載
Tyree Glenn      Let's Have a Ball
Roulette原盤     1960年録音

 トロンボーン奏者のタイリー・グレンは、1912年テキサス州生まれで、1974年に亡くなったお方です。エディ・ベアフィールド,ベニー・カーター,ライオネル・ハンプトン,キャブ・キャロウェイ,デューク・エリントン等の楽団に、1930年代から1950年代初めまで属しておりました。その後、スタジオ活動を主にしながら、自己のグループを率いていたそうで、この作品はその時期のものになります。

 SJの記事から選んだのですが、本来なら購入対象にはしない作品であります。選んだ理由は、寺島氏が推薦する全く知らないトロンボーン奏者を、1枚ぐらい買っておこうかということ。そして、酒場の若いねえちゃんに囲まれている中年男のジャケが選定理由です。何か、とんでもない展開の演奏かと思ったのです。しかしジャケを手にしてみると、若いねえちゃんだと思った3人は、腹がたるんだ中年女。複雑な気分で聴きます。

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 オーディオの前で真剣に聴くジャズとは、対角線上にあるジャズです。ジャズ本国アメリカでは、この手のものも、凄い人気のようです。グレンのトロンボーン演奏は、ベルのところをミュートで空き塞ぎしながら演奏そうするもの。寺島氏が書いている「楽器が人そのもの」という文句は実に言えていて、語りかけるトロンボーンになっております。この録音後のグレンは、1965年からサッチモの楽団で活躍したとか。サッチモ楽団で陽気に吹いているグレンの姿が、浮かんでくるようです。