ニーナ・シモンを追悼し、彼女が属した中の三つのレーベル(Colpix,Philips,RCA)の発売権を持つ日本のレコード会社が、一挙に彼女の作品をCD化したのは去年の春のことでした。僕はその中から、オーケストラが加わっていない作品10枚を購入し、去年の8月にここで取上げました。ジャズの枠を超えてのニーナの魅力に触れ、オーケストラ作品も購入することになったのです。
今日取上げる盤はコルピクスの初作品であり、『サヴォイでストンプ』『春の如く』『ウィロー・ウィープ・ミー』といった曲を取上げております。
クラシックのコンサート・ピアニストを目指していた彼女にとっては、クラブでの弾語りは学費稼ぎだったとか。母親や学校にばれないように変名を使い、それがニーナ・シモン。スペイン系のボーイ・フレンドからニーナ、好きな女優のシモーネ・シオレからシモンを取ったとのこと。
封入されている高田氏のこんな解説を読みながら聴き始めたのですが、バラッドやスローなナンバーを、落ち着いて歌う彼女に感心。『ザッツ・ヒム・オーヴァー・ゼア』が、その筆頭格です。
それに反して、トラディショナルな曲やR&Bなどを力強く歌う彼女には、トゥー・マッチ感が漂います。これは彼女の声を強調しすぎる録音によるものかもしれませんが、コルピクス最初の作品は、そんな感じでした。