2004年7月1日掲載
Marcus Roberts     alone with three giants
BMG原盤                 1990年6月録音

 盲目のピアニストということは、今日取り上げるマーカス・ロバーツについて記憶していることですが、その他については知りません。もしかしたらもう1枚持っているかと思いネットで彼のディスコグラフィを探したのですが、この後に移籍したレーベルでの作品群にしか出会えませんでした。

 この作品はタイトルから推測出来る通りに、ジャズの巨人の曲を取り上げ、ソロ・ピアノで吹き込んだものであります。その3人とは、モンクにエリントン、そしてF.Morton であります。

20040701

「jungle blues」「new orleans blues」「the crave」という3曲が、F.Morton 作の曲。知らない人だけれど、モンクとエリントンと並ぶ人だから、ピアニストであり作曲家なのだろうと考えていた。

 最初に演奏された「jungle blues」がラグタイム・ピアノだったので、F.Morton が誰だか判明した。ジェリー・ロール・モートンなのだ。ジャズ人名辞典によれば、Ferdinand Joseph La Menthe という名前も、モートンは持っているのだ。この二つを組み合わせれば、F.Morton となる。ジャズ創成期に登場した巨人であり、ピアニストであり、多数の曲を残した人である。ただ僕にとっては、モートンから続いて登場するエリントンやモンクと比べたら、モートンには縁が無い。

 その中で、「the crave」という悲しい宴が思い浮かぶメロディが、気に入ったものとなった。

 モートンの話ばかりになったが、主役のマーカスは力強いピアノ演奏をする方である。忠実にメロディを、弾いており、好感が持てる。ただソロにおいては、真面目さを感じ、余裕を感じさせないものだ。全体的に、走りすぎる場面もある。

 ネットで調べたところによれば、今でもコンスタントに作品を発表しているお方。この「巨人3人集」から10年後の演奏を聴いてみたいものだ。