渋谷ジャロさんの中古コーナーで見つけたこの作品の帯には、「ユーゴスラビアの伝説的ピアニスト、ボリスラフ・ロコヴィッチを中心とするRTBオールスターズのセッション」と書かれており、伝説につられて買った作品である。
しかしながら、伝説っていうのは過剰表現のようで、欧州盤を紹介する時に僕が使っているネタ本には、ロコヴィッチさんの名は無かった。
さて、解説から分った事実を少し書いておきましょう。RTBとはRadio Television Belgrade の略で、レコード会社でもあるよう。スタジオでセッションを行い、それをシリーズとして発売しており、これが3作目とのこと。リーダーは特別存在しないのですが、ロコヴィッチさんが事実上のリーダー。もともと10インチで発売されたものです。
ユーゴスラビアは分かりませんが、この時期の欧州ジャズは、本国アメリカのジャズを必死に模倣している時期であります。そしてその中に、欧州ならではの技術と緊張感が、独自の世界を築き始めていた時期なのです。
この盤では、そういうこの時期の欧州ジャズの様子が端的に示されております。「三文オペラのテーマ」がその代表例と言えるでしょう。
アメリカの熱きハード・バップの熱さを、高度な緊張感に置き換えた演奏が、堪能出来る作品であります。