1960年代からイギリスで活躍していたロック・ミュージュシャンに、ジャズ好きな方が多いのは周知のことですね。ジャック・ブルースなどは、当時からジャズも行ってましたからね。また、ジャズ畑の人でも、ロックに移行していったミュージュシャンも多くいました。これは、フュージョンとは違う流れです
さて、イギリスのロックの代表格のローリング・ストーンズにおいても、ミックとワッツのジャズ好きで有名です。ミックの場合は、マイルスから会うのを断られて話がありました。そしてワッツは好きなだけでなく、自らジャズ作品を吹き込んでおります。僕は、20年ほど前にLPで発売されたのを2種類ほど持っております。そして今年に入って、ロニー・スコット・クラブでのライブ盤が発売されました。内容は以前からと同様に、ビッグ・バンドです。参加メンバーで目を引くのは、エヴァン・パーカーでしょうかね。2枚組みCDです。
2枚とも、エリントンの曲で始まっており、優雅な気分の演奏。『what's new』『body and soul』『here's that rainy day』『tin tin deo』と続くスタンダード4連発は、各楽器に聴かせ所を用意し、また違った展開のアレンジになっており、実に楽しいもの。ワッツを中心にしたメンバーのオリジナルも用意されているが、『airto Ⅱ』の出来が良かった。ストーンズの盟友ミックとキースが提供した『faction & band introduction』は、スローでファンキーという面白いもの。
とういうことで2時間15曲は、飽きることなく続いて流れました。ビッグ・バンドと書きましたが11人編成であり、曲毎にフューチャーする人を変えていて、ビッグ・バンドに興味が無い人にも推薦出来る盤です。個性豊かな11人あり、それに応えた演奏ですが、全体を通しては一つの色にまとまっている。これは、ワッツのプロデュースの成果でしょう。
ワッツのドラムを近くで聴いた人の話では、本当に力強い演奏であるとのこと。常々ストーンズでの自分の演奏を『ミックとキースのために叩いている』と言っているワッツですが、そこを離れたジャズ演奏では自分の為の演奏なのでしょうね。力強い演奏を決める場面もありますが、好バッキングが目立つ内容。ワッツの本音はストーンズなのかこのジャズ盤なのかとの思いもありますが、両方ともワッツの本音であると信じたいです。
ストーンズでのワッツ同様に、この盤でのワッツを、これからも聴いていくことでしょう。