2004年11月16日掲載
Salvatore Tranchini      faces
Red Record原盤            2003年4月録音

 この盤は今年の輸入盤屋さん人気の、トップを走っている作品のようです。幾つかの通販サイトでは、入荷待ち表示の状態です。

 さてリーダーのドラム奏者サルヴァトーレ・トランキーニは、ナポリ生まれの中堅ドラマーとのこと。彼のウェブ・サイトはイタリア語だけだったので、経歴はチンプンカンプンでしたが、純粋なリーダー作はこれで4枚目とのこと。

 クィンテット編成の作品ですが、参加メンバーで気を引くのが、先日取り上げたホット・ファイブのペットとサックスが加入していることでしょう。ダニエレ・スカンナピエコ(ts)とファブリツィオ・ボッソ(tp)の二人であります。イタリアの、中堅ドラマーと若手2管の共演作品であります。

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 軽快なドラムから始まる『eurostar』では、やはり2管の威勢の良さが光っている。またこの曲はペットのダニエレ・スカンナピエコによるものであるが、曲作りの上手さが光っている。続く『just a moment』はピアノのフランセスコ・ナストロ作の、しっとりとしたバラッドである。ピアノの心地よさと共に、2管の深みも味わえる内容だ。ナストロは他にも3曲提供しており、これまた曲作りが上手いお方だ。選曲はリーダーのトランキーニによるのであろうが、上手い組み合わせで並んでいる。各曲において2管が下がっている時に聴けるピアノ・トリオの箇所も気持ちよく、この雰囲気だけの演奏も聴きたいと思っていたら、最後に用意されていた。しかも、『I remember clifford』である。ピアノは高音使用が目に付き、低音も上手く使い出したらとも時に感じるが、センスの良い演奏だ。

 各自のセンスが随所に出てきている演奏が全体に散りばめられている本盤は、やはりリーダーの力量によるものであろう。でしゃばることなくバッキングに徹しているこのドラマーの次回作にも、注目してみよう。