ウェイン・エスコフェリは1975年ロンドン生まれの、若いテナー・サックス奏者です。2001年に同じレーベルから出した初リーダー作が話題を呼んだらしいのです。さぞかし大活躍なのかなと思いながら彼のwebページをみましたら、サイド参加のレコーディングは僅かに6枚でありました。4年間で6枚なのですが、売れっ子なら数倍は声がかかっていたはず。まぁ聴く前から変な先入観を抱いてもいけませんね。
トランペット入りのクィンテット編成でのレコーディングです。
軽快で力強くてつぼをビシバシ決めるドラムに感心しクレジットをみてみたら、ラルフ・ピーターソンでした。1980年代半ばに登場し若手ドラマーの最先端を走っていたピーターソンも既に中堅なのですが、変に枯れることなく、若き頃の勢いを増幅させてる演奏を繰り広げています。
そのドラムに乗って主役のエスコフェリも、力強い演奏を展開しております。ショーター風の音色であり、新主流派の影響を感じさせる内容です。エスコフェリは真剣そのものの迫力で、彼の生真面目さを感じます。ここに余裕が生まれてくればピーターソンと同様な中堅時代を迎えられるでしょうし、生真面目さのままならば、いつか行き詰ってしまうでしょう。しかしこの盤はまだ2枚目の作品であり、そんなことは余計なおせっかい。期待できるサックス奏者との出会いを喜びたいと思います。
速いテンポのタイトル曲、ゆったりテンポの『the first one』、この他にも聴き応えある演奏が並んでいる注目作です。