2003年8月20日掲載
Grant Green        I Want To Hold Your Hand
Blue Note原盤      1965年3月録音

 ブルー・ノートだけのギタリストと言えば、グリーンだ。計26枚のリーダー作品を、このレーベルに残している。勿論、サイドで参加している作品も多数あるよね。まぁ、バレルはブルー・ノートだけってことではないから、グリーンで決まりでしょう。

 ところが僕は、恐らくリーダー作を5枚ほど持ってるが、好きなミュージシャンって訳ではない。好きなギタリストである、そして偉大なギタリストであるバレルとウェス同様にホーン・ライクなギタリストなんだがね。

 さてこの作品のポイントは、1965年の録音ってこと。「抱きしめたい」を一日中流していたアメリカのFM局の話は神話としてよく語られるが、兎に角ビートルズ旋風のアメリカだった1965年。そして、参加メンバーにとては、コルトレーン黄金クァルテットで名声を得ていたエルヴィン、オルガン革新者として注目を浴びていたヤングに対して、落ち目のモブレーが参加している。1965年が感じられる内容でしょうかね。

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 グリーンとヤングの相性が抜群だ。ギターとオルガンの音色が、決して泥臭くならずに、しかしソウル感を出して決めている。流石はエルヴィンと思ったのは、この作品では彼の見せ場は用意されてなくバッキングだけなのであるが、グリーンとヤングの流れを見極めながら絶妙な強弱をつけている。そしてモブレーは、色づけとしてなかなかの演奏。しかしこれらのことは、「スピーク・ロウ」や「星影のステラ」であって、この作品の狙いであるビートルズ・ソングでは良いとこ無しに終わっている。

 何か、豊満ボディの可愛い女の娘が突然目の前に現れて、何をしていいか悩んでいる様子であった。これが1965年なのかな。