「アルト・マッドネス(7114)」と比べると、録音はこの作品が2ヶ月前。しかし、レコード番号は、1つ後ろの7115。まぁ、この辺の事情はどうでもよいが、アルト対決作品を続けて世に出すあたりは、さすがにプレスティッジ。
フィル・ウッズとジーン・クイルの組み合わせは、誰もが納得いくところでしょうが、問題はタイトルである「ウィズ・プレスティッジ」である。さざかし凄いリズム陣を用意しているのかと思ったら、George Syran(p),Teddy Kotick(b),Nick Stabulas(d)という知名度無しの方々。
まぁ、いい加減に付けたタイトルですからね。
「さて、明日の金曜日のバン・ゲル・スタジオ、誰を録ろうかな。おっ、ウッズとクィルが空いてるか。それで行こう。リズム・セクションは・・・、いいのがいないな。まぁ、いいや。この間売り込みに来てたヤツを使おう」ってな雰囲気で、ボブ・ワインストックはこのセッションを決めたのでは。
ピアノの George Syran なんて、「ジャズ人名辞典」に載っていない。グーグルで検索しても、この作品関連でしかヒット無しであります。しかし人材豊富だった時代でありますな。ウッズとクィルの合間で聴けるピアノや、ベースとドラムの掛け合いを聴いていると、もしピアノ・トリオ作品でもひっそりと吹き込んでいれば、幻の名盤騒動に加わった作品が出来上がったかもね。
さて、主役のお話。アップかあらミディアム・テンポの曲で構成されていますが、全てがウッズ作。先発ソロもウッズ。その意味でウッズが引っ張ったセッションなのでしょうが、明るい色気があるアルトの音色とフレージングではクィルも一歩も譲っておりません。
読める展開なのですが、ワクワクと楽しめる展開であり、愛着のわく1枚であります。