オーディオ天国と言われていた日本の凋落振りには、激しいものがある。例えば、アンプ。セパレートはまだいいが、プリメイン・アンプを真剣に作っているところは皆無であり、同様なことはCDプレーヤーにも言えるであろう。スピーカーは以前から海外には敵わなかったことを考えると、それなりのシステムを構築しようとすれば、必然的に海外製品ばかりになってしまう現状である。
話かわってレコード。1970年代の日本は、ジャズ・レコード大国と言われていた。しかし1980年代には有名どころしか発売しなくなっていた。そんな状況の日本のジャズ・ファンを唸らせたのは、スペインのフレッシュ・サウンド・レーベルだった。次々に貴重な作品を復刻発売していき、またそれらの作品が日本人受けするモノであったため、毎月のフレッシュ・サウンドの入荷日を多くのジャズ・ファンは心待ちにしていたのである。
それら多くの復刻作品群の中に、本作品を始めとするビヴァリー・ケニーが数枚あった。美人で可愛い系の彼女のレコードは、すぐさま売り切れになっていましたね。そんなフレッシュ・サウンドの快進撃に心を入れ替えた日本の各社はそれ以降手持ちのレーベルから、次々とオイシイ盤をレコード・CDと復刻していき、その中にこれもCDで発売されたのでした。
レコードで持っているものはCDでは買わないという僕の原則を、彼女はあっさりと破ってくれたのです。以前取り上げ作品の同年に吹き込まれたものです。
可愛い声をききたければ、ビヴァリー・ケニーが決定打!を再確認した次第です。それと、この盤での歌が、僕にとってはその歌の決定打になっているのが多いことに、ビックリ。一般的には、カーメンの「give me the simple life」,ジューン・クリスティの「swinging on a star」,ペギー・リーの「it ain't necessarily」,カーメン・エラ・リタの「if I were a bell」で知られている曲も、ぼくにとっては、ケリーなんだな。
うん、愛聴盤。