しかし寺島さんの文章は、私的なことを書き連ねながら一ジャズ・ファンの率直な心境で書いてあるため、同意するか否かは別にして、人を惹きつけるものがありますね。
ここで取上げるのは5枚目になるサイデルさんの作品、日本のレコード会社からも初めて配給されるものです。まぁ、寺島さんが書いているライナーのハシャギ振りは相当なものですが、僕自身の心配は今までのプライベート・レーベルから変わったということで、変な意識が出てしまっているのではということです。
しかしバックは今までと同じようなメンバーですし、プロデュースもお兄さん(今まで夫だと思っていました)であるデビッドさんが担当されているので、大丈夫だと信じたいところです。
ペギー・リーに捧げる内容だそうです。
恐らくはリハーサルをしっかりと積み、入念に準備されたレコーディングであったのだろう。余裕を感じさせる内容である。可愛らしさ、淑やかさ、妖艶さが微妙に居れ混じった歌声が、演奏と実に良い間でマッチしているのだ。しばらくは僕の愛聴盤席から離れない盤になるであろう。
ボーナス・トラックが入っている国内盤は全18曲、兎に角捨て曲がないのだ。今日はその中で、弦楽器としっとり絡んだ曲が、僕の心を捉えたね。ベースとの「フィーヴァー」、ギターとの「ジョニー・ギター」がそれだ。この2曲が続けて収録されているのだが、実に至極の時を過ごせたよ。