ここで何度か書いたことなのですが、僕が欧州ジャズとピアノ・トリオを積極的に聴く様になった契機となる作品が、このヤン・ラングレンの「Swedish Standards」でした。同じメンバーで同じレーベルに、それから3年後に吹き込んだのが、今日取り上げるこの作品です。9曲中8曲がラングレンのオリジナルということにも興味が沸きますね。
力強さに参ったね。
1曲目のアップ・テンポの「do it yourself」に圧倒され、2曲目のミドル・テンポの「the expatriate」に体が揺れ、3曲目のスロー・ナンバー「waltz for phillip」での内臓を突き上げるベース・ラインにノック・アウト。息が合っているトリオならではの三位一体、最良のピアノ・トリオだけが持ち得る展開です。その後の曲も、冒頭の3曲の力強さが維持されており、特に「time to leave again」でのマイナー・タッチの切なさが力強く心に訴えてきます。末永く付き合って行ける盤に出会えて、嬉しくなりますね。
話それますが、マレーシアに就労ビザで住んでいる人には、EXPATRIATE IDENTIFICATION CARDが入国管理局から与えられます。辞書でEXPATRIATEを調べてみたら、「国外追放、亡命者」との意味のようで不思議な気分になったのを、2曲目のタイトルをみて思い出しました。