ジョー・ヘンダーソン(ts)と言えば、1960年代にシーンに登場してからの5 年ほどの記憶が、ジャズ・ファンの中では強いのではないのでしょうか。ホレス・シルバーやハン コックやハバードなどとの活動を始め、自身もテトラゴンなどの素晴らしい作品を吹込んでいました からね。1970年台になると、ロックのBS&Tでの活躍や、音楽教育に力を注ぐなどの行動で、 ジャズ・シーンからは少し遠のいていました。もちろん、作品は発表していましたけどね。そんな 彼が新生ブルー・ノート記念コンサートに出演し注目を浴び、その年の秋にヴィレッジ・ヴァンガー ドでライブ録音がなされました。ロン・カーター(b),アル・フォスター(d)とのピアノレス・トリ オ。場所といい編成といいレーベルといい、誰もがロリンズを思い出しますね。
48歳のヘンダーソン、 切れることのない創造力ですな、お見事。あっさり吹くテーマも良いしね。モンクの2曲も良いし、 オリジナルで何度も今まで吹込んできた「アイソトープ」も素敵。でも今日聴いた一番は、ロン・ カーター作の「ルース・チェンジ」。ファンキーなブルースなんですが、ラフな演奏に隠された 熱演が印象的です。全体通してカーターのベースが、リズムと遊び心で聴かせてくれます。この時期 のカーターはクラシックに傾倒していて胡散臭く感じたものですが、こんな良い演奏も残していたの ねと、再発見しました。続編があり、いつか取上げますので。