2000年4月19日掲載
World Saxophone Quartet    Metamorphosis
Nonesuch原盤                      1990年4月録音

 2年振りのWSQのこの作品、大きな変革点が二つあります。Julius Hemphill が脱退し、Arthur Blythe が参加していること。ヘンフィルのアルト演奏がこのユニットの豊かなメロディ性を支えてきたことと、過去9作66曲中25曲がヘンフィル作であることを考えるとその抜けた穴の大きさが分かりますね、二つ目の変革は、リズム陣が入ったことです。これまでの活動を振り返ると、サックス4本での表現に限界がみられたのは事実であり、リズム・セクションを入れたらの考えはファンの間では確かにありました。しかしサックスだけでのユニットということに大きな存在意義があったのですから、複雑な気持ですね。パーカッションが3人、曲によってベースが参加しています。

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 ホーンでリズムをキープす る必要性から解放されたのは、新たな展開をこのユニットにもたらしましたね。まぁ、 この編成を聞いたら誰でも想像出来たことでしょうけど。マレイは2年前に自身のDIW でのマラソン・セッションで吹込んだ“ballad for the black man”と“lo chi lo”を この作品に提供し、ソロを吹きまくっています。アフリカン・リズムが得意なパーカッ ション陣に支えられ、息の合った3人のホーンが心地よいアンサンブルの絨毯の上で、 実に気持良さそうです。新加入のブライスは自作のタイトル曲を土産にこのユニットに 参加し、アルトで熱演をふるっています。レイクの提供の曲も良し。ノンサッチ及びエ レクトラでの3枚で、整然とした綺麗な演奏に目覚めたWSQが、リズム陣とブライス 加入で以前とは違ったワイルドさが加わってきた名盤ですね、これは。