2年連続でノンサッチ・レーベルに吹込みを行なっていたWSQですが、この年は親会社のエレクトラからの発売になっています。この作品でも、はっきりとしたテーマが与 えられていますね、リズム&ブルースです。収録曲の中に、オーティス・レディングの名曲 “(Sittin'on)The Dock of the Bay”などのR&Bの名曲が6曲収められています。メンバー作の曲では、WSQで2度目の録音になる“I heard that”を含めてブルーイットが2曲、ヘンフィルが1曲提供しています。マレイの曲がないのは淋しいですが、WSQがR&Bを如何に料理しているかが、非常に興味深いです。
WSQとして慣れ親しんだアップ・テンポの“I heard that”は、このセッションの最初に演奏されたのでは。これで勢いをつけて、R&Bの名曲を6つのお皿に華麗に盛り付けましたね。やはり最も有名な“The Dock of the Bay” が、耳タコのメロディであることもあって、すんなりと楽しんで聴けます。ヘンフィルのアルトが、その音色とフレージングが、この演奏を盛り上げています。R&Bの名曲と知ったかぶりをして書 いていますが、他の曲はそのオリジナルを知らないのですが、このレディングの演奏はオリジナル の心に迫っていますね。4人の完成したこのユニットなのですが、その編成の特異さから、アルバム 1枚を通して聴かせるには、今回のようなしっかりとした企画が必要になってきていますね。もう、これで9枚目ですからね。