わざとぼかしたセピア調の彼女に惹かれて買った作品です。それで今こうやってじっくりとジャケを眺めると、「a remembrance of john coltrane」って書いてある。曲目にはタイトル曲と「Pursuance」という具合に、「至上の愛」から2曲収録されているし、他にも1曲コルトレーン作の曲があり、また彼の熱演で有名な曲が含まれています。これを知っていたら、買うのを躊躇したんですけどね。変な思い込みが強くなければいいのですが。バックはサックスの入ったクァルテットです。
暖かみのある高音が魅力の歌声であり、コルトレーンの熱演で有名な「the night has a thousand eyes」ではその歌声が絶妙に合った展開が聴けます。また、コルトレーン作の多くの曲の中でさほど目立たない「liberia」(coltrane sounds 収録)を取り上げたセンスと、そこでの明るい展開も評価出きるものになっています。でも、問題はやはり「至上の愛」での2曲。一つには全体の中で、その意気込みの強さから変に浮いていること。二つ目には、バックがその思い込みを表現し得るだけの実力がないこと。彼女のボーカルも、変にスキャットに逃げる場面が多々あり、残念でした。恐らくは旦那さんにあたる方がピアノとコルトレーン曲の作詞にあたっていますが、この二人による明るい気軽な作品を次に望みたいです。