ビル・イングリッシュ(d)の唯一のリーダー作が、この作品です。1925年にNYで生れた彼のプロしてのスタートは、R&Bからのものでしたが、1953年頃からジャズのレコーディングに参加し始めました。僕の彼に対しての印象は中間派としてのものですが、彼の参加した多くの作品を眺めてみますと、中間派からハード・バップ、そして歌伴まで幅広いものになっています。セルダン・パウエル(ts,fl)、デイブ・バーンズ(tp)、ロイド・G・メイヤーズ(p)が参加している、クィンテットでの録音です。
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スタンダードの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」の演奏に惚れちゃったね。出だしのメイヤーズのピアノからして色気タップリだし、テナー・サックス―ミュート・トランペット―ピアノと続くソロ演奏も、このバラッドの魅力を最大限に活かしています。サイド・マンに光を当てた1枚と言えるし、これを製作したヴァンガードの見識も立派だし、10年前に国内発売したキング・レコードのセンスも評価出来ますね。