若手の登竜門的存在のクリスクロス・レーベルのハウス・ピアニスト的存在のデイヴィッド・ヘイゼルタインの、リーダー作品です。ピーター・ワシントン(b)と ルイ・ヘイス(d)が参加しているトリオ作品かと思いきや、ジャヴォン・ジャクソンというテナーが参加しています。また曲によっては、スティーブ・ネルソンのヴァイブが入り、またドラムがジョー・フランスワースに替わっています。
パウエルを柔らかくした感じ、 そんなピアノの印象です。でもコルトレーン作で、名盤ブルー・トレーンで熱演した “moment's notice”では低音をバリバリに効かせた迫力を聴かせてくれてます。8曲中2曲がトリオ作品、5曲がテナー入りクァルテット、1曲がヴァイブ入りクァルテットで収録されています。ピアノ以外でキーになるのが、ジャヴォン・ジャクソンのテナー。 ソプラノかと思うような高い音で、テーマ・メロディを素直に心地よく吹いています。 スタンダードの“my foolish heart”、そしてヘイゼルタイン作の楽しさと切なさが同居したようなメロディで、ジャクソンの素直な吹き方に引き込まれます。その後のヘイゼル タインのアドリブを、冴えさせていますね。
でもこのジャクソンのテナー、評判は良くな いですね。SJ10月号広告のジャズ喫茶AFの大西さんが、「ジャクソンのテナーの音 はどうなってんの。当店のリクエストではテナーをEXCEPTしたトラックのみお聴か せします。」と書いてます。確かにトリオ・トラックの出来が良いですがね。十人十色の感じ方があるから、ジャズは面白いですね。