2000年1月30日掲載
David Murray and Dave Burrell
Windward Passages
Black Saint 原盤      1993年12月録音

 クァルテット編成を中心に数多くの録音を行なってきたマレイが、暮れに選んだのがデイブ・バレルのピアノとのデュオ作品です。バレルとは多数の作品を残してきたマレイですが、彼とのデュオ作品となると、1989年と1991年に続き3度目になります。ただし、明日取上げる盤も彼とのデュオですが、録音月が不明なため4度目になるかもしれませんがね。この作品はヴォーカルでモニカ・ロー ソンが1曲だけ参加していますので、純粋なデュオとは言えないでしょうけどね。 注目曲としては、以前ヒックスとのデュオ作品でも取上げたコルトレーン作のネイマ を2テイク収録しています。またこの年のヒックス入りのクァルテット作で取上げたマレイ作の“sorrow song”が、ここでも取上げられています。

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 この年のマレ イのテーマは、やすらぎと楽しさですね。この作品でも、それを味わえます。ジェリー・ ロール・モートンの楽しいタンゴからバレルらしさ溢れる憂いのある曲まで、その調子で二人は演奏しています。しかし1曲だけ、“ネイマ”のテイク2だけが違う顔を見せてますね。マレイのソロの途中からフリーキーな展開になり、これを待ってましたとばかりにバレルのピアノが爆発するのですよ。スリル溢れるバトルです。最後にこの曲の テイク1が収められているのですが、これはやすらぎのある演奏です。アルバム全体の流れから考えれば、テイク1を入れる必要は無かったのではないかな。それと、ローソ ンのはヴォーカルというより、ナレーション。バレルまで一緒にナレーションを行なってます。これ最後まで収録した意味が、掴めませんでした。この2点を除けば、過去2 作のデュオ作品とは違った演奏の、好盤と言える内容です。