クィンテット編成での、ロンドンでのライブ録音で、2枚組の作品です。コルネットにはお馴染みのモリスが参加しておりますが、他のメンバーは初めての競演になります。ピアノにカーティス・クラーク、ベースにブライアン・スミス、ドラムにクリフォード・ジャーヴィスという顔ぶれです。ピアノ入りのクィンテット録音は、アムステルダムのライブ録音からちょうど1年振りになりますね。“home”以外の曲は初めて演奏されるものであり、この後何度か取上げられるようになる“murray's step”が初演されていますよ。新しいリズ・ムセクションでの演奏具合がポイントとなる作品です。
ベースのブライアン・スミス作の“concion de mor en espanol”が、今までにはない雰囲気を持っている曲ですね。副題がスパニッシュ・ラブ・ ソングとなっているように、マイナーなメロディアウスな曲です。前作でのシャンソン風、そしてこの曲と、マレイは落ち着いたしっとりとしたメロディも、自分の世界で表現出来るようになってきています。この辺りの演奏が、この後のマレイの方向性を導くものになっていったのでしょう。さて、初競演のリズム・セクションでは、カーティス・クラークのピアノが落ち着きがありながら、マレイの激しさに引けを取らない演奏で、今後のマレイとのセッションに期待が持てるものですね。