バイブのウォルト・デッカーソンが、1960年にNYに進出した直後に吹き込まれたのが、本作品です。彼はニュー・ジャズに4枚のリーダー・アルバムを残しており、これは2作目にあたります。オースティン・クロウという無名ながらデッカーソンと度々競演しているピアニ ストが参加しての、クァルテットでの録音です。どんなバイブを聴かせてくれるのか、また8 曲中6曲を占める彼のオリジナルの出来はいかなもんか、楽しみにします。
バイブというのはペダルを踏むとミュートが外れるのでしたっけ。そのポワァーンという響きを多用する人ですね、このデッカー ソンは。例えばスタンダードの“if i should lose you”のような綺麗なメロディの曲も、ポ ワァーンとした響きで、その旋律がはっきり伝わってこないのです。このポワァーンがピッタリくるのが彼のオリジナルのミディアム・マイナー・ブルースの“good earth”と“wahy”ですね。マイナーの感じとポワァーンが一緒になって、面白い効果を発揮しています。でもこの曲、どうして良い地球ってタイトルなのかは、聴いていて伝わってきませんでしたけどね。