1951年にレコード・レビューを果たしたテナーのティナ・ブルックスですが、最初はラテン・バンドやR&Bバンドでの活動でした。その後アルフレッド・ライオンと知り合い、ブルー・ノートでの多くのセッションで起用されるようになりまいした。フレディ・ハバードの“オープン・セサミ”などで素晴らしい演奏を披露してくれましたね。今日紹介するのは“トゥルー・ブルー”に続くリーダー・アルバムになるはずっだたのですが、タイトル、ジャケット、曲順まで決まっていながら、発売されることなく終わった作品なのです。そー言った意味では、真の“幻の名盤”ですよ。ペットにブルー・ミッチェル、アルトにジャキー・マクリーン、ピアノにケニー・ドリューを迎えてのこの作品、9年前に東芝EMIが景品として配布したもので、中古屋さんでは配布直後に1万円の値が付きました。
ブルックスのオリジナルのマイナー曲のタイトル曲や“street singer”を、全員が派手さを押さえて演奏しているのが、印象的です。憂いを表現するというのがテーマであるように感じられ、何度もリハーサルを重ねてアレンジを練り、計算された中で行われたレコーディングだったのでしょうね。このアルバムが発売されていれば、ジャズファンの中でブルックスという名前は、もっと有名になったのではないでしょうか。何故なら彼のたった1枚の リーダーアルバムである“トゥルー・ブルー”1枚だけで、根強い支持者をここ日本で獲得したのですから。