テナーのジョー・ヘンダーソンはこの録音の時期には、フレディ・ハーバードと一緒に活動したり、 ハービー・ハンコックのバンドに参加したりしていました。このアルバムはピアノにドン・フ リードマンとドラムのジャック・デジョネットが参加したセッションと、ケニー・バロンとルイ ス・ヘイスが参加した2つのセッションが収録されています。共にベースはロン・カーターですよ。セッションによる違いを聞いてみるのも面白いでしょうね。
僕はジョー・ヘンダーソンのアルバムを10枚弱位しか持ってなく、また体系建てて聴いている訳ではないのですが、この時期は彼の第1期黄金時 代と言えると思います。確か“キッカー”もこの頃の作品で、素晴らしいものでしたね。第2期は1980年代に復興なったブルー・ノートにピアノレスで作品を吹き込んでいた頃かな。彼の音は線が太くて伸びやかなのが魅力的なのですが、この1960年代後半に確立された感じですね。このアルバムではまず“インヴィテイション”が良いですね。コルトレーンの演奏と比べるとテンポを速くしており、テーマが悲しげで情緒的に歌われています。この曲のピアノはフリードマンですが、他のメンバーとの絡みも絶妙で四角形を意味するテトラゴンというタイトル通りの、4人が互いに影響しあう演奏が素敵ですよ。タイトル曲はヘンダーソンのオリジナルで、アップ・テ ンポの刺激的な曲なのですが、ピアノのバロンが少し弱いのが残念。フリードマンのピアノで、聴きたかったな。しかしながら素晴らしいテナー奏者の代表アルバムであることは、間違い無しですね。