ペットのナット・アダレイは、みなさんご存知の通りキャノンボール・アダレイの弟です。ライオネル・ハンプトン楽団で2年間活躍し、1956年にお兄さんとコンボを結成する前にこのアルバムを吹き込みました。サボイのハウス・リズム・セクションである、ハンク・ジョーンズ、ウェンデル・マーシャル、ケニー・クラークをバックに、テナーにジェローム・リチャーソンを迎えての録音ですが、やはりファンキーなアダレイのペットが聞けるのでしょうか。
この時代のサボイ・レーベルの印象 と言えば、やはりピアノのハンク・ジョーンズを中心としたリズム・セクションですね。落ち着いていて派手さは無いのですが、奥深い香りでのバッキングですよ。で、アダレイと言えば、ファンキーですよね。何か対決のような書き方ですが、その結果は、サボイ・チームの勝ち!ですね。まぁ、これは言い過ぎで、アダレイがこの録音条件に上手く適応したのでしょうね。“アイ・マリード・アン・エンジェル”“ユー・ ベター・ゴー・ナウ”のスローナンバーで、この両者の良い関係が聞けますよ。でもやはりファンキーに吹きたかったのでしょうね。“アン・スプリングス”でのアダレイのソロにその気持ちが聞き取れるのですが、その後のピアノソロでは、あっという間にジョーンズの世界に戻り、笑えますよ。全体を通して、テナーのジェローム・リチャー ソンの好プレーが、引き締まった作品にしています。あっ、これはお兄さんとコンボを組む前の演奏なのか。まだこの時はファンキー路線という訳では無かったのかな。そー 言った意味では、若き日の彼の貴重な演奏を聞ける1枚なのかな。