このウエイド・レグは、夭折の天才ピアニストだそうである。18歳の時にガレスピーに見出され彼のバンドに迎えられた彼が、ガレスピー・バンドの欧州ツアーで立ち寄ったパリで吹き込まれたのがこのピアノトリオ・アルバムです。19歳の時のこの演奏、パウエル、モンク、エリントンに影響を受けたということらしいのですが、楽しみです。
スタンダード中心で8曲が収録されています。パウエルの影響が強いのですが、この時代のピアニストは多かれ少なかれ、パウエル風ですよね。レグの場合は軽快とは違って、少し軽い感じのする演奏ですね。しかし、“スウェディッシュ・フォークソング(ディア・オールド・ストックホルムと同曲)や、 パウエル作の“異教徒たちの踊り”などでは、奥深い彼なりの解釈も聞かれます。まだ19歳のこの時点では、それらの部分がアルバム全体に彼らしさとして表現しきれなかったのでしょう。この後ガレスピーのバンドを離れて1957年にミンガスの“クラウン”に参加した際には、彼の個性が発揮された演奏で、その後の活躍に期待が持てるものでしたが、1950年代末には故郷のバッファローに引っ込んでしまいました。これからという時期だっただけに、残念ですね。