1999年4月28日掲載
Randy Weston      jazz a la bohemia
Riverside原盤          1956年10月録音

 ピアノのランディ・ウエストンは少し変わった経歴の持ち主です。1947年から1949年まではレストランを経営していたそうです。後に音楽活動を始め、1954年から2年間は本作品を発表したリバー・サイド・レコードの職員として働いてました。そして再度音楽活動を再開して吹き込まれたのがこのアルバムです。ベース にアーメッド・アブダルマリクが参加しているトリオに、バリトンのセシル・ペインがゲスト参加し、NYのカフェ・ボフェミアでのライブ録音です。この後1960年代には、アフリカ音楽を積極的に取り入れていった彼の姿が、少しは聞こえるかな。

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 彼のこの時代のスタイルは、取っ付き易いモンク風の演奏という感じですね。全体を通しては、高音でコロコロころがる指さばきが耳に残り、アブダルマリクの力強いベースがそれを支えています。その意味で充実しているのは、ウエストンのアップ・テンポなオリジナルの“chessman's delight”です。しかしこのアルバムの白眉はソロで演奏している、“it's all right with me”なのです。このスローバラードをアドリブをほとんど交えずに、メロディを大切に弾いています。このような場合、当然演奏構成をどう持って行くかが勝負になります。盛り上げる、しっと りと、グチャグチャに、と飽きることない構成で、しかも上手い演奏です。これを聞けば、メロディが暫く頭から離れないこと、間違いなしです。後年のアフリカに傾倒する片鱗は、パーカッシブな演奏に少し聞けます。残念なことは、ライブとはいえ、リバーサイドの録音なのに、録音状態が悪いこと。もう少し良ければ、日本でも話題にされることが多くなったのでは。