1999年4月18日掲載
Barry Harris       at the jazz workshop
Riverside原盤        1960年5月録音

 ピアノのバリー・ハリスは1929年生まれですが、注目を浴びるようになったのは30歳を過ぎて からです。なんでも気が弱くおとなしい性格で、生まれ故郷のデトロイトを離れようとしなかった のが理由とか。そんな彼が、新人を発掘するのに天才的なアルトのキャノン・ボール・アダレイの 毒牙(?)にかかり、NYに連れ出されました。そこで彼のデトロイトに埋もれていた彼の才能が 一気に、業界の知るところになりました。このアルバムは、サンフランシスコでアダレイのバンド がクラブ“ジャズ・ワークショップ”に出演していた折に、リバーサイドがリズムセクションだけ で録音したものです。ベースがサム・ジョーンズ、ドラムがルイ・ヘイズです。しかし、気弱というのは本当なのかな。

19990418

 彼はパウエル直系のピアニストで、パーカーの強い影響を受けているそうだ。このアルバムでもそれをはっきり伺える 演奏がいくつか収められてます。その中で目玉はマイナー曲“あなたの心は”ですぞ。悲しげなテーマにおいて高音部を強調して弾き、印象が濃く残る演奏になっています。 パーカーがいかにも好きそうなアップテンポの曲では、まだ自分を表現しきれていない感じですね。それにしてもクラブの観衆の前でどうどうとこれだけの演奏をする彼は、決して気弱には思えないけどな。これ以降彼はリバーサイドに4枚のアルバムを残していきますが、こんなハリスを発掘したキャノンボール・アダレイには感謝したいな。彼がいなければ、ハリスは一生デトロイトのローカルミュージュシャンで終り、我々が耳にすることは出来なかったかもね。