1950年代のニューヨークを中心としたイースト・コーストのジャズ界は、ハード・バップの最盛期であり、黒人ミュージュシャンが中心でした。その中で、アルトのフィル・ウッズは白人ながら活躍した人です。このアルバムは彼の初期の名盤“ウッドロア”の前年に録音されたもので、ファースト・リーダー・レコーディングです。ペットに ジョン・アードレイ、ピアノにジョージ・サイランと無名に近い人達とレコーディングしたこのアルバム、彼の勢いはどんな感じでしょうか。
8曲中5曲がアップテンポなのですが、そこでウッズとアードレイが一緒にテーマを吹くのが印象的です。若いミュージュシャンが希望に胸膨らませて精一杯演奏していますよ。またピアノのサイランも小気味良い演奏を聞かせてます。曲ではアードレイ作のタイトル曲“ポット・パイ”と、ウッズ作の“ロビンズ・ ボビン”、このアップテンポ2曲が良いです。またサイラン作のミディアムテンポの“コブストーンズ”もなかなかの曲ですよ。この若手3人、ウッズはこれ以降スターの道を歩みますが、アードレイはプレスティジに3枚のリーダーアルバムを残しましたがあまりぱっとせず、またサイランは消息知れずで、大きな差が生じます。このアルバムでは素晴らしい演奏だけに、感慨深いですね。