「新ロマン派ピアノ・トリオの傑作、ここに登場」と書かれた名刺大の紹介文が、この作品に封入されていました。澤野工房が日本に紹介する、ジョヴァン ニ・ミラバッシというイタリアの新人ピアニストの、トリオ作品です。最近欧州ジャ ズの良品を手がけ、日本のジャズ・ファンに高い支持を得ている澤野が取上げる作品なので、下手なものは出さないでしょうね。Daniele Mencarelli(b)、Louis Moutin(d) というメンバーが参加していまして、1曲だけPierre Durand(g)が加わっています。 裏ジャケを見ますと、ミラバッシは30過ぎの髭男ですよ。
テクニックの高さがアルバム全体に響き渡っています。これは、ミラバッシだけではなく、ベースもドラムにも言えることです。この技術に裏打ちされて、緊張感・スリル・甘さが見事に調和した曲が、 最初の“un dimanche de pluie”です。4分42秒の演奏時間全てに、ピアノ・トリオ としての理想的な至極の姿があります。他の8曲でも快調な演奏なのですが、甘さが勝っている場面も目立ちます。この作品は日本で好調な売れ行きを示しているようなので、ミラバッシの2作目を聴けるのも直ぐのことでしょう。